18年間、ここの病院にいるのにな‥
朝、自転車で職場に向かう時間。
ペダルを漕ぎながら、ふと頭をよぎることがありました。
「あの看護師さん、看護部長になったんだ」
2〜3年前に入ってきた、私と同い年の看護師さん。
(おめでとう、さすがだな)
そう思う気持ちは、本当にありました。
でもそれと同時に、胸のどこかにチクリともやもやしたものが残りました。
私は、この病院に18年いる。
患者さんの食事のことになれば、若い看護師さんたちは毎回素直に耳を傾けてくれる。
それなりの存在感はあると思う。
それでも――
「治療」の中心にいるのは、医師と看護師だ。
どれだけ経験を積んでも、病院という場所で栄養士が立てる場所は、いつも輪の少し外にある気がしていました。
病院のためにできることは、全部やってきたつもりだった。
でもそれは、ほんの一角に過ぎなかったのだなと、改めて実感してしまったのです。
病院全体を動かす場所に、栄養士の声はほとんど届かない。
ふと、他の部署のことを考えてみました。
薬剤師、理学療法士……。
同じくらいのキャリアの人たちは、私より待遇が良いことも多かった。
「資格カーストなのかな……」
そんな言葉が、ふと頭をよぎりました。
悔しい、というよりも、
「私はこの18年間で、何を積み上げてきたんだろう」
そんな気持ちでした。
このままでよいのだろうか。
その問いが、自転車のタイヤと一緒に、頭の中をぐるぐると回っていました。
(私はこのままでいいのか?)
(他の資格を取ってみようかな……)
(何か変えなければ)
でも、何をどう変えればいいのか。
その時の私には、まだわかっていませんでした。

踏み出す前の不安と、それでも動いた理由
仕事が終わるのは、だいたい18時半ごろ。
そこから買い物をして、帰宅して、夕飯を作って、片付けて。
気づけば夜の時間は、あっという間に終わっていました。
「何か始めたい」
「何かをしなきゃ」
そんな気持ちはある。
でも、時間がない。
何かを始めるノウハウも知らない。
インスタもよくわからない。
それが正直なところでした。
それだけではありません。
当時、子どもが不登校になっていました。
毎日、子どものことで頭がいっぱいで、自分のことを考える余裕なんてありませんでした。
「私が何かを始めるなんて、無理だ」
どこかで、そう決めつけていたのだと思います。
そんな時、友人が鍼灸師の国家資格に合格したと聞きました。
その姿を見て
「私も何かしなくては」
そう思うようになりました。
「このままで終わりたくない」
その気持ちが、どんどん強くなっていきました。
子どものこと。
行き場のない職場のモヤモヤ。
行き詰まった毎日。
それを続ける方が、怖かったのです。
そんな話を栄養士の仲間にした時、ある情報を教えてもらいました。
「フリーランス管理栄養士・栄養士最速キャリアアップサミット」
その言葉に、なぜか心が引かれました。
正直
「私なんかが参加していいのかな」
そう思いました。
それでも
「今変わらなければ」
そう思い、思い切って申し込みました。
私が最初にやった小さな一歩
知人から教えてもらった、サミットの案内メール。
1度目は、チラッと見てスルーしました。
「フリーランス?サミット?なんだろう?」
その時は、子どものことで頭がいっぱいで、それどころではありませんでした。
2度目のメールが届いた時も、なんとなく目に入ったものの、そのまま閉じました。
しばらくして、仕事もうまくいかず、プライベートでもイライラが続いていました。
そして、3度目のメールが届いた時。
「明日からチャレンジできる在宅ワーク」
その一文が、なぜか目に留まりました。
(なんだか、これって私に話しかけてる?)
(参加してみようかな……)
そう思った瞬間、「申し込みはこちら」のボタンをクリックしていました。
申し込んだ後、なんだか少し心が軽くなった気がしました。
「何かが変わるかもしれない」
根拠なんてなかったけれど、そんな予感がじわじわと湧いてきました。
スマホのスケジュールを何度も開いては、サミットの日が近づくのをワクワクしながら待っていました。
サミット当日。
ZOOMの画面に映し出されたのは、私の知らない管理栄養士の世界でした。
みなさん、生き生きしていて、とても楽しそうだった。
院長も、事務長もいない世界で活躍する栄養士たち。簡単なことではないとわかっている。
それでも、画面の向こうの世界から目が離せませんでした。

一歩動いて気づいた、18年のキャリアの「本当の価値」
サミットの中で、ある言葉が私の心を突き動かしました。
「今の自分の知識や経験をサービスに変えて、栄養サポートが満席になったら嬉しい人はどれくらいいますか?」
(そんなの嬉しいに決まってる)
(そんなことが可能なの?)
(私も……何かできるかもしれない)
そう思った瞬間、何かがほどけた気がしました。
私の発信で、誰かの感情が動くかもしれない。
私の知識で、喜んでくれる人がいるかもしれない。
18年間、病院の中だけで使ってきた知識が、外の世界でも価値になるかもしれない。
それまでの私は
「経験はあるけど、どう活かせばいいのかわからない」
そう感じていました。
でも、少しずつ動き始めたことで、気づけば日々の景色が変わっていました。
職場で嫌なことがあっても、以前ほど引きずらなくなった。
毎日が、少しずつ楽しく感じられるようになっていました。
ある日、娘に言われました。
「お母さん、最近楽しそうだね」
その言葉が、じんと胸に響きました。
そして後日、娘がぽつりと話してくれました。
「前は、お母さんが私のことばかり考えてるのがわかって、少し苦しかった。
でも今は違う。私も楽になった」
思わず、涙が出そうになりました。
私が変わることで、娘も変わっていた。
知り合いからも言われました。
「前は思い詰めててマイナス思考だったのに、今は楽しそうでプラス思考になってるね」
一歩踏み出す前、私は
「時間がない」
「無理だ」
と決めつけていました。
でも実際に動いてみてわかったのは、行動することで、自分の見え方が変わるということ。
そして、これまでの経験は価値に変わるということでした。
自分が変わると、周りも変わっていく。
確かに、時間がたくさんあるわけではありません。
できることも限られています。
それでも今、私は楽しくて仕方ありません。
3度目のメールのボタンをクリックした、あの小さな一歩が、私の世界を変えました。

最後に、読んでくださっているあなたへ
今の仕事が嫌いなわけじゃない。
でも
「自分の立場にモヤモヤする」
「何年も経験を積んできたのに、何を積み上げてきたんだろう」
「私には価値があるのだろうか」
そんなふうに感じることがあるなら――
まずは
「調べてみる」
「参加してみる」
そんな小さなアクションから始めてみてください。
勇気を出して一歩踏み出すと、これまで知らなかった世界が広がっていきます。
そして少しずつ、物事の見え方が変わり、それが自信につながっていきます。
今の仕事を続けながらでいい。
でも、小さな一歩を踏み出すだけで、可能性は確実に広がっていきます。
それを、私は実感しています。
あなたにも、その一歩がきっと見つかります。

ひろみ りょうこ
管理栄養士/病院勤務
病院管理栄養士として約19年、現場経験を重ねる。
海外で食に関わる仕事を経験したことをきっかけに栄養士の道へ。
厨房現場から病院栄養士としての経験を積み、現在は病院で働きながら新しい挑戦にも取り組んでいる。
ヒカリテーブルより
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そんな一歩を踏み出した栄養士さんのストーリーを、これからもお届けしていきます🌿



